達人出版会日記

ITエンジニア向けの技術系電子書籍の制作と販売を行う達人出版会のブログです。

年末年始に読みたい!2012年に達人出版会で売れた本まとめ

気がつくと2012年も残すところあとわずかとなりましたが、達人出版会では今年もたくさんの電子書籍をお届けすることができました。ご購入いただいたみなさまには厚く御礼申し上げます。

今年の振り返りも兼ねて、今年売れた電子書籍の中でも目立ったものをいくつかピックアップしてご紹介したいと思います。もしかしたら後で買おうと思ったけど忘れていたとか、出てたことに気づかなかったなどという本もあるかもしれません。そんな方には、年末年始の時間のあるときにでもちょっと読んでみるか……とご購入いただけるとありがたいです。また、買ったけど積読になっていた方にも、せっかくですのでこの機会にお読みいただけるとうれしいです。


まずは弊社発行のもので、今年の新刊ではない書籍から。

達人出版会は一昨年から販売を始めており、2011年まで発売した本はあまり多くはないのですが、1年以上たっても引き続きロングセラーとして売れている書籍もいくつかあります。とりわけ『エキスパートObjective-Cプログラミング ― iOS/OS Xのメモリ管理とマルチスレッド』『徹底解剖「G1GC」 アルゴリズム編』そして『はじめる! Rails3』シリーズは、今年もたくさんの方にご購入いただきました。


徹底解剖「G1GC」 アルゴリズム編
中村成洋
達人出版会
発行日: 2011-06-27
対応フォーマット: EPUB, PDF

はじめる! Rails3(1)
黒田努
達人出版会
発行日: 2011-02-03
対応フォーマット: EPUB, PDF
はじめる! Rails3(2)
黒田努
達人出版会
発行日: 2011-09-05
対応フォーマット: EPUB, PDF
はじめる! Rails3(3)
黒田努
達人出版会
発行日: 2012-04-04
対応フォーマット: EPUB, PDF


エキスパートObjective-Cプログラミング ― iOS/OS Xのメモリ管理とマルチスレッド』は、iOSプログラミングの書籍としてはARC、Blocks、GCDにターゲットを絞った本ですが、iOS人気に加えて「ARCやBlocksの挙動を実装レベルで解説する以降の章はまさにエキスパートに相応しい内容」(「Objective-C勉強したいならコレを読め2012秋」より)により、とりわけ詳しい方からの評価が高い書籍です。

徹底解剖「G1GC」 アルゴリズム編』は、G1GCのアルゴリズムを紹介した本で、これもまた随分とニッチな領域に関する書籍ですが、日本語でのまたnariさんのイラストも一部で人気でした。

はじめる! Rails3』シリーズは、先日行ったアンケートでも好意的な意見が多数聞かれた人気のシリーズで、徹底して入門者向けにしてRails 3を紹介するという割り切りが評価されたようでした。

知る、読む、使う! オープンソースライセンス』は、コンスタントに売れている書籍です。「オープンソースライセンス」という、言語やツールとはちょっと違った角度で、多くの方が興味を持つ(興味を持たざるをえない)分野について書かれた本で、「自分で読みたい本」という以上に「人に勧めたい本」という立ち位置にあるようにも思います。


続いて、弊社の今年の新刊です。


アプリケーションをつくる英語
西野竜太郎
達人出版会
発行日: 2012-06-20
対応フォーマット: EPUB, PDF

How to Change the World 〜チェンジ・マネジメント3.0〜
Jurgen Appelo, 前川哲次(翻訳), 川口恭伸(翻訳), 吉羽龍太郎(翻訳)
達人出版会
発行日: 2012-07-13
対応フォーマット: EPUB, PDF

サムライ・エピソード
26人のサムライ達
達人出版会
発行日: 2012-09-14
対応フォーマット: EPUB, PDF


アプリケーションをつくる英語』は、今年とにかく売れました。「英語」を切り口にする本はそれなりに売れそうという期待はあったのですが、その期待以上の実績を叩き出しています。メニューやアイコン、メッセージなどの英文、という、これもまた避けがたいところにターゲットを絞って、一朝一夕ではまとめきれないほどの単語と構文を列挙する、というところが、多くの人にマストバイアイテムとして捉えられたのだと思います。先日のアンケートでも印象に残った本として挙げた方が多いタイトルでした。

はじめてのフレームワークとしてのFuelPHP』は、FuelPHPフレームワークとしての有用性や、その最初期の市販書籍となったということもさることながら、著者の鈴木さんを始めFuelPHPを広めたいというFuelPHPファンの方々の熱心な活動が実績につながったのではないかと思います。先日公開した『FuelPHP Advent Calendar 2012』が、そのような方々のお礼も兼ねて支援につながればうれしい限りです。

How to Change the World 〜チェンジ・マネジメント3.0〜』は、弊社的には初の有料の翻訳書籍で感慨深いのですが、著者さんよりも訳者の方々のネームバリューが最初は大きかったのかなと思われます。著者Jurgen Appelo氏についても、来年早々に来日されるので、それを期にさらに評価が高まることを期待しています。

サムライ・エピソード』については、以前も紹介エントリで書きましたが、現場の人々による生の声、というのはやはりみんな気になるというか知りたいのだと思います。アンケートでは、『日本でアジャイルを実践している人たちの声というのは(略)なかなか聴く機会がありませんが、この本によって「アジャイルは現実に行われている」ということを伝えられていることが素晴らしい』という声もあり、確かにそういう側面も本書を出したことの意義なのだなあと再認識しました。

さて、今年は弊社の書籍以外にも、委託販売による書籍も積極的に販売を試みました。その中からもいくつか紹介します。

まずはアスキー・メディアワークスさんです。


アルゴリズムを学ぼう
川中真耶, 杵渕朋彦, 椎名俊輔
アスキー・メディアワークス
発行日: 2012-06-01
対応フォーマット: PDF

サーバサイドJavaScript Node.js入門
清水俊博, 大津繁樹, Jxck, 小林秀和, 佐々木庸平, 篠崎祐輔, 高木敦也, 西山雄也
アスキー・メディアワークス
発行日: 2012-10-29
対応フォーマット: PDF

プロフェショナル・シェルプログラミング
砂原 秀樹, 石井 秀治, 植原 啓介, 林 周志
アスキー・メディアワークス
発行日: 2012-10-01
対応フォーマット: PDF


アルゴリズムを学ぼう』は販売当初とても評判になったのが印象的でした。キャッチーな表紙にしっかりした内容(なのにキャラの顔つき対話形式)、という、確かに上手いところを突いた書籍になっており、ネットで話題を集めるには最適、という形でした。

Developer's Code 本物のプログラマがしていること』は、これまたある種今風の内容で、プログラミングの初心者には心得を知るために、中上級者には再確認的な意味で、幅広い方に読んでいただける(読んで欲しい)良いコンテンツになっていると思います。

サーバサイドJavaScript Node.js入門』は、発売前から噂はずっと聞いていたので、無事に刊行されたことが感慨深いです。nodeのような活発に開発されている技術は書籍で紹介することが難しいのですが、それだけ多くの方に待ち望んでいた書籍でもあったと思います。

最後の『プロフェショナル・シェルプログラミング』は、売れ行きという意味では上記3冊ほどではないのですが、個人的に印象に残った本として挙げておきます。このような、紙の書籍としてロングセラーだった書籍が積極的に電子書籍として読めるようになるのは、いろんな意味でよいことではないかなあと期待しています。


続いてインプレスさんです。


Android Security 安全なアプリケーションを作成するために
タオソフトウェア株式会社
インプレスジャパン
発行日: 2012-04-11
対応フォーマット: PDF

iOS5プログラミングブック
加藤寛人, 吉田悠一, 藤川宏之, 西方夏子, 関川雄介, 高丘知央
インプレスジャパン
発行日: 2012-07-10
対応フォーマット: PDF

HTML5ガイドブック 増補改訂版
羽田野 太巳, 太田 昌吾, 伊藤 千光, 古籏 一浩, 小松 健作, 吉川 徹
インプレスジャパン
発行日: 2012-11-01
対応フォーマット: PDF


Android Security 安全なアプリケーションを作成するために』と『Android UI Cookbook for 4.0 ICS(Ice Cream Sandwich)アプリ開発術』は、どちらもAndroidに関して、それぞれ「セキュリティ」と「UI」という専門的な領域に突っ込んで書かれた本ということで好評でした。Androidアプリ開発はiOSアプリ開発とはまた違った強みと難しさがあり、そのような分野はやはりよい書籍が期待されているようです。

一方で『iOS5プログラミングブック』はそのiOSアプリ開発に関する書籍で、本書で紹介されているような最新技術にキャッチアップしていくことは開発者としては必須のことであり、そのためにも本書が読まれているのだなあと思います。

HTML5ガイドブック 増補改訂版』も、これもまた「増補改訂版」というだけあって、動きの早いHTML5の変化をいち早く伝える役割を担っています。本書以外のGoogle Expertシリーズは、6冊セットでセール販売も行いましたが、(1冊辺りとしてはお買い得とは言え)合計金額としては高価な価格にも関わらず、多くの方にご購入いただきました。

最後の『Android×Arduinoでつくるクラウド連携デバイス ―Android ADKで電子工作をはじめよう! ―』は、まだ発売直後であり合計部数はまだ多くは出ていないのですが、Arduinoは2012年に入り、これまでの電子工作寄りの人気から、さらに幅広い層にリーチしてきたように思います。その一つの理由がこのAndroidとの連携にあるようで、本書の人気もそのような流れの一端にあるのではないかと思います。


さて、偶然ながら今年はIAやUXに関する書籍を3冊出すことができました。ビー・エヌ・エヌ新社さんとワークスコーポレーションさんとはそれぞれ1冊目ということで販売させていただくことになり、また長谷川恭久さんの書籍も委託販売ではないのですが自身でも販売されている個人出版物ということでここでまとめて紹介します。


IA100 ユーザーエクスペリエンスデザインのための情報アーキテクチャ設計
長谷川敦士
ビー・エヌ・エヌ新社
発行日: 2012-10-15
対応フォーマット: PDF


これらの本は、テーマとしては互いに相通じるところがありながら、書籍としては大きく異なったものになっています。むりやりまとめるのであれば、100の様々の切り口からIAの全体を浮かび上がらせようとする『IA100』、演習も取り入れながら、ある種システマチックにIAに向かい合おうとする『IAシンキング電子書籍版』、そしてそのような綺麗なまとめ方ではなく、言語化しづらいところを言語化するべくエッセイとしてまとめあげた『エクスペリエンス ポイント』、というところでしょうか。あまりIA方面の知識は持っていないのですが、どれも参考になる(やっぱり勉強しないとと思わせる)書籍でした。


そんなわけで、紹介できなかった本も多々あって内申忸怩たるものもあるのですが(やっぱり全部紹介するべきだったかしら……でもそうするときりないし……)、駆け足で今年の書籍をピックアップしてみました。こう振り返ると、たくさんの書籍を読者の方々に提供できて、大変よい一年だったと思います。

来年もさらに多くの書籍を紹介できるよう頑張ります。どうぞご期待ください。