2015年版・連休中に読みたいコンピュータ書の入門書(達人出版会で売ってる電子書籍編)その1
こんにちは、達人出版会の高橋です。
早いもので先日まで桜が咲いていたかと思いきや、あっという間にゴールデンウィークの時期になってしまいました。
今月から新しい環境で仕事や生活を始めた方も、連休は少し余裕ができてくる時期かと思います。そんなこともあって、連休中に読みたい達人出版会の電子書籍のリストを作ってみました。
この手のリスト作りはレギュレーション、「どういう条件で取捨選択するか」がキモなわけですが、今回は「達人出版会で販売している入門書」というものにしてみました。もっとも、入門書と言っても、前提知識をどこまで期待するかによってだいぶ異なります。そもそも弊社は中上級者向けの書籍の方が圧倒的に人気があり、おすすめしたいタイトルも多いのですが、これくらいの入門書もあります、というのもお知らせしたい気持ちもあります。ある程度以上スキルのある方には少々物足りないリストかもしれませんが、そんな方の場合は周囲の初心者の方におすすめする際の参考にでもしていただけるとありがたいです。
■プログラミング編
まずはプログラミングの入門書です。
アルゴリズム・プログラミング全般
具体的な言語や開発環境の知識を深めるのも良いのですが、初心者の方にも多少はアルゴリズムの入門書も読んでいただきたいところです。こういう機会を作ってでもしないとなかなか読まないものですし。
『アルゴリズムを学ぼう』は一部で話題を読んだアルゴリズムの入門書です。ストーリー仕立てで文体は柔らかいですが、書いている内容は踏み込んだところもあります。そういう本なので、入門用にしっかりお勉強するという姿勢よりも、読むには分かるところだけ楽しんで読まれるといいんではないかと思います。続編の方も出ているのでこちらも合わせてどうぞ。
『コンピュータープログラミング入門以前』は『アルゴリズムを学ぼう』に比べるとちょっと固めの基礎の本で(それでも教科書的な本に比べるとだいぶ読みやすいです)、2進数やデジタル回路からOSやOOPLまで薄く広く一望しています。いきなり読むにはちょっとしんどいところもあるかもしれませんが、興味のある方はぜひどうぞ。
Java
最近のJavaについては『スッキリわかるJava入門』が入門書の定番になっているようで、好評につき第2版が出ています。『〜実践編』の方はあまり入門書ではないのですが、知っておいてほしいところもあるので、合わせてどうぞ。
『実務Java』はあんまり実務っぽくないというか、ゲームニクスの方に重点を置いているのでしょうか、ゲームのストーリー仕立てになっています。ちょっと人を選ぶかもしれませんが、変わった感じなので紹介してみました。
PHP
- イラストでよくわかるPHP はじめてのWebプログラミング入門
- よくわかるPHPの教科書 【PHP5.5対応版】
- はじめてのフレームワークとしてのFuelPHP第2版(1) 環境構築編
- はじめてのフレームワークとしてのFuelPHP第2版(2) 入門編
PHPの入門書は難しいですよね……。最近のPHPは高度な機能も入ってきていますし、どういう人を想定していいのかよく分からないので、えいやっと選んでみました。
『イラストでよくわかるPHP』はイラストで〜のシリーズの一冊です。もうほんとにはじめて、の人向けなので、プログラミングはぜんぜん分からんという人は読んでみるといいかもしれません(ある程度以上知識がある人には向かなさそうです)。『よくわかるPHPの教科書』も入門書シリーズの定番の1つですね。こちらの方がちょっと本格的というか難易度がやや高いです。
『はじめてのフレームワークとしてのFuelPHP第2版』はより高度というか、普通にフレームワークを使ったWebアプリケーション開発の入門書になっています。とはいえ、環境構築から分かりやすく書いてあるので、よく知らない人にもFuelPHPを使うのであればいきなりこれから始めてもいいかもしれません(ほんとに何も知らない人で、周囲の人の力も借りられないような方はFuelPHPを使う判断もできないはず、と思っています)。
Rails
- Ruby on Rails チュートリアル: 実例を使ってRailsを学ぼう
- 実践Ruby on Rails 4 現場のプロから学ぶ本格Webプログラミング
そういえば弊社にはRubyそのものの入門書はまだなかったんですね……(『たのしいRuby』は鋭意準備中です。販売開始までにはもうちょっとかかりそうなので、今しばらくお待ちください)。というわけでRailsの入門書です。
Railsの入門書であれば『Ruby on Rails チュートリアル』が世界的に鉄板なので、これを推しておきます。試し読み(というか全文読み)もサイトの方でできますので、こちらを見てから判断されるのもよいかもです。
他にもう一冊というか、前者はちょっとしっくりこなかった、という人には『実践Ruby on Rails4』がいいかもしれません。この辺は好みもあると思うので。
JS/AltJS
- よくわかるJavaScriptの教科書
- ゲームを作りながら楽しく学べるHTML5+CSS+JavaScriptプログラミング
- サーバサイドJavaScript Node.js入門
- TypeScriptリファレンス Ver.1.0対応
- AngularJSリファレンス
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
発行日: 2012-10-29
対応フォーマット: PDF, EPUB
JavaScriptの入門書もよく選びづらくて困ってしまいます……。
『よくわかるJavaScriptの教科書』はJSそのものというよりは、主にjQueryなどを使ったフロントエンドの制作者(あえて開発者とは言わない)向けの入門書です。カラー&図が多めというのは最近の入門書の定番スタイルですね。なんだかんだ言ってJSのユーザ層にはこの層の方々が少なくないので、ターゲットさえ間違わなければ良いのではないかと思います。
『ゲームを作りながら楽しく学べるHTML5+CSS+JavaScriptプログラミング』の方は、まだプログラミング向けですが、こちらもホビーユースというか、簡単なゲームの作り方を通してプログラミングを学ぶ、という感じです。
Nodeについては『サーバサイドJavaScript Node.js入門』があります。少し前の本なのと、紹介する範囲に偏りがありそうな気がしますが、Node界隈はとにかく動きが早い印象があるので、定番の入門書というのはしばらく出なさそうな気もします。
TypeScriptについては『TypeScriptリファレンス』、AngularJSについては『AngularJSリファレンス』があります。この辺になってくるといわゆる入門者向けではぜんぜんなくなってくるのですが、そもそもTypeScript使いたいとかAngular使いたいという人はそういうタイプの入門者ではない気もするので、本書辺りから始めると良いのではないかと思います。
C/C++
Cの入門書はとにかく数が多い上に新刊もどんどん出るので有名ですが、弊社ではあまり多くは揃っていないのでした。その中では、『開発ツールを使って学ぶ!C言語プログラミング』は歌人(ただしアセンブラ短歌)で作品集も編まれている(ただしアセンブラ短歌本)坂井さんによる本です。C言語の開発そのものよりも、開発環境に重点を置いているのが特徴で、gitやGDBはともかく、diffやpatchとかの紹介が入っているところが興味深いです。
ちょっと毛色の変わったものとしては、『オンラインジャッジではじめるC/C++プログラミング入門』があります。こちらはC++寄りの本で、練習問題として出されている問題を「Aizu Online Judge」のサイトで確認できるというのが売りになっていて面白いです。独学ではしんどいところをこういう形で補っていくのは、まさにこれからの学習スタイルなのかなあと思い、紹介してみました。
アセンブラ
- 32ビットコンピュータをやさしく語る はじめて読む486
- 基礎からきっちり覚える 機械語入門
アセンブラについては、とにかく『はじめて読む486』が販売できて個人的にうれしいのでこれを推しておきたいです。プログラミング初心者にはおすすめしやすいタイプの本ではないですし、ちょっと(だいぶ)古い本ではあるのですが、ある程度プログラミングの知識がある人がx86系のアセンブラを勉強するにあたっては、今でも本書から読まれるのも良いのではないかと思います。
もうちょっと一般向けの入門書としては、『基礎からきっちり覚える 機械語入門』があります。こちらの方は、2進数やコンピュータのしくみから始まって、中盤では独自仕様の機械語を使って機械語とプログラミングの基礎を教えて、最後に実際の機械語(Z80とかPentiumとか)も紹介する、というちょっと21世紀には見かけないスタイルになっています。直近でアセンブラを使う必要はないけど興味はある、という方には、現実の機械語の面倒な説明を回避できる本書から入るのも良いかもしれません。
iOS
- やさしくはじめるiPhoneアプリ開発の学校
- Objective-C超入門 改訂第3版
- Objective-Cの要点
- 開発のプロが教える Swift標準ガイドブック
- XcodeではじめるSwiftプログラミング
さてiOSです。iOSもこれまた本が多い分野なのですが、iOSのバージョンアップによって古びてしまうのも(Android開発本と同様に)早いのも特徴です。また、最近はObjective-CとSwiftとが並立しているため、本も選びにくい時期ではあります。
そんな中でコンスタントに人気があるのは『やさしくはじめるiPhoneアプリ開発の学校』のシリーズです。また、Objective-Cの本であれば、ふつうに言語の入門書的な本である『Objective-C超入門 改訂第3版』と、分量的にも価格的にもコンパクトにまとまっている『Objective-Cの要点』があります。
一方のSwiftですが、言語そのものの本としては『開発のプロが教える Swift標準ガイドブック』が、もう少しアプリ開発寄りの本としては『XcodeではじめるSwiftプログラミング』があります。いずれにしてもちょっとむずかし目の本ではありますが、正直Swiftは直近では慣れている人のサポートがないと辛そう(バージョンアップすると動かなくなったりするとか)ですし、ここはちょっと頑張ってみた方が良いかもしれません。
Android
Androidの入門書はちょっと弱いところなのでした(『Effective Android』は入門者向けではないですよね、やっぱり)。その中でも何か選ぶとすると、『初歩からわかるAndroid最新プログラミング』あたりが良さそうでしょうか。案外突っ込んだ内容もありますが、こちらもiOS同様仕方ないですよね。
また、開発環境構築だけなら『基礎からわかるAndroidアプリケーション開発 Android開発環境構築Windows編』があります。開発環境を作るだけでも結構手間、というほんとの初心者向けではありますが、そういう方には良いかと思います。
セキュリティ
- 体系的に学ぶ 安全なWebアプリケーションの作り方
セキュリティといえばこの本、というくらい、とにかく鉄板の一冊です。「入門書」と言っていいかどうかよく分からないくらい、入門者以外の人にも売れているわけですが、セキュリティは中途半端に学んでも仕方がないところではあるので、あきらめて(?)腰を据えて、本書から学べばいいんじゃないでしょうか。
Webやアプリ以外のセキュリティについては弊社ではこれという本がないのですが、基本的な考え方は本書を元に学ぶこともあるかと思います。
■ Web制作・運用編
引き続き、プログラミング以外の(主に)Web制作・運用についての入門書です。
HTML・CSS
HTML5とCSS3については、『よくわかるHTML5+CSS3の教科書【第2版】』が好評です。この手の本の多くはHTMLもCSSも両方紹介する形になる上に、画像もたくさんになってくるので、入門書としてまとめるのも大変そうです。
HTML5について絞り込んだものとしては、『HTML5 スタンダード・デザインガイド』があります。4月中はセール中なので興味があれば今のうちにどうぞ。
デザイン(Web以外)
- ノンデザイナーズ・デザインブック [フルカラー新装増補版]
- よくわかるInDesignの教科書 【CS6対応版】
- Photoshop&Illustrator プロの現場の仕事術【CS6/CS5/CS4/CS3対応版】
エンジニア向けのデザインの本と言えば『ノンデザイナーズ・デザインブック』に尽きます。悪いことは言わないので何としてでも読んでおくのをおすすめします(無理に弊社から買えとは言わないので)。
あと、ちょっとジャンルが違うものとしては、『よくわかるInDesignの教科書』があります。InDesignについての書籍は紙でもそんなに多くはないですし、そもそも弊社ではこの本しかない(!)のでもうこれ一択になります。興味があればどうぞ。