達人出版会日記

ITエンジニア向けの技術系電子書籍の制作と販売を行う達人出版会のブログです。

『ケヴィン・ケリー著作選集 1』を公開しました

前回の予告通り、ケヴィン・ケリー著、堺屋七左衛門訳『ケヴィン・ケリー著作選集 1』を公開しました。


 ケヴィン・ケリー著作選集 1
(ケヴィン・ケリー著、堺屋七左衛門訳 達人出版会発行 PDF/EPUB


すでにtwitterでも好意的な反響をいただいているようで、大変ありがたい限りです。


ところで、twitterの反応では、本書が「無料」であることに驚かれている方が少なくないようです。しかし、どちらかというと、「無料」ということよりもCreative Commonsライセンスを使った「自由」な電子書籍であること、しかも「BY-NC-SA(表示 - 非営利 - 継承)」であること、の方にむしろ驚いて欲しい気もしています。第三者が翻訳を呼びかけ、それに応えて翻訳されたものがブログで公開され、それを読んだ者が電子書籍化する、という流れは、自由なコンテンツの活用を促す枠組みがなければありえなかったことです。

先日とある方とも話したのですが、Creative Commonsライセンスはその解釈や扱いが難しいところもあります。とりわけ「非営利」というのは、どこまでやっていいのか・どこまでやってはいけないのかが、今ひとつはっきりしないところもあります。とはいえ、その辺は様子を見ながらプラグマティックに解決していく、というのも、それはそれで現実的な気もします。今回の電子書籍も、無料とはいえある意味営利に近い位置づけに思われる方もいらっしゃるかもしれません。ですが、当社としては今回のような書籍の発行はNCの範囲内として、当社以外でも積極的に行われるようになることが、そもそものCreative Commonsの理念とそのライセンスにもとづく作品群に対しての有効活用につながるはずという考えに基づき、この『ケヴィン・ケリー著作選集』を刊行いたしました。

いずれにしても、それなりに原価のかかる紙書籍ではなかなか難しい、電子書籍ならではの一つの試みとして受け止めていただけるとありがたいです。


なお、この書籍は、読み物系の新しいシリーズを始めるにあたっての告知の意味も込めています。今回は無料でしたが、今後は読み物系でも有料のものを中心にしていきたいとは思っています(そうじゃないと仕事にならないので……)が、当社ならではの面白い試みはこれからも続けていくつもりもあります。近いうちに新しい本を出す予定もありますので、ご期待ください。